カメルーン、ガイアナ、ナイジェリアへ初の寄贈が実現

2018.02.26 News

2017年、パナソニックは国連開発計画(UNDP)を通じて、アフリカのカメルーンとナイジェリア、そして南米初となるガイアナにソーラーランタンを寄贈しました。3カ国とも初めての寄贈国です。

カメルーン:強靭なコミュニティに向けた希望の光

天然資源や農業に適した土地に恵まれたカメルーンは、1960年の独立以来、紛争が散発する中部アフリカの中では、政治的な安定を保っている国です。その一方で、近年は経済成長が低迷し、同時に国内の経済格差も拡大。電化率を見ても、国全体は62%とサブサハラアフリカの中では高い方ですが、都市部の96%に比べて農村部では23%に留まるなど、地域格差が目立ちます。

カメルーン極北州は特に貧しく、貧困率は約74%、失業率も85%を超えます。その他、識字率、初等教育へのアクセス、産婦死亡率などさまざま社会指標を見ても、国内で最も厳しい状況にある地域です。さらに、ボコ・ハラム危機の影響を受けたナイジェリア難民及び国内避難民(IDP)のほとんどがこの州に滞在しています。

寄贈されたソーラーランタンは、極北州のロゴンヌ・ビルニ地区にある計6,000名の子どもたちが学ぶ小学校20校や若者1500人が通う職業訓練学校7校及び2つの保健センターに届けられます。

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ソーラーランタンが寄贈されるロゴンヌ・ビルニ地区にある小学校

ガイアナ:インフラから孤立しがちな内陸部のくらしをサポート

南アメリカ北東部に位置する南米唯一の英語国、ガイアナ。およそ75万人の人口の大部分は沿岸部に住んでいます。人口当たりの電化率は79%ですが、内陸部に住む先住民族コミュニティの多くは安定した電力へのアクセスが確保できていません。内陸部には広大な原生熱帯雨林が広がっています。内陸部の一部の地域では、小さな発電機を使った発電に頼っており、1日4〜8時間しか電気を使えません。

保健施設には太陽光発電のシステムがありますが、配布されたソーラーランタンは、夜間に発生した緊急事態への対応や、重病患者を移送するため、夜間に飛行機が着陸する際の安全確保などに役立てられます。教育現場では、暗くなったあとも生徒たちが学校や寮の部屋で勉強を続けることができるようになり、成績が向上することが期待されます。

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ソーラーランタン到着時の写真

ナイジェリア:難民の多い北東部の生活を明るく照らす

西アフリカに位置するナイジェリアは、約1億8,600万人とアフリカ最大の人口を擁する国です。近年はサービス産業の成長が顕著で、GDPはアフリカ第1位ですが、歳入の大部分を占める原油価格の影響を受け、通貨の市場レートの下落やインフレ、電力不足などの課題に直面しています。

特に、北東部は、難民および国内避難民(IDPs)として生活の場を追われた人々を含め、今も約850万人が緊急援助を必要としています。電化率も著しく低い状況で、国全体が45%であるのに対し、今回の寄贈先であるボルノ州は33%、ヨベ州は16.1%、アダマワ州は37.6%に過ぎません。

ソーラーランタンは、この3州のIDPsや帰還民が暮らすコミュニティの公共施設や、電力へのアクセスがない世帯に配布されます。女性が家計を担っている世帯へ優先的に配布し収入を増やすことでジェンダー格差の解消につなげたり、夜、あかりの元で仕事ができるようになることで収入を増やし、経済不平等を軽減したりすることに役立てられます。

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学校に避難して暮らす国内避難民の様子。学校には電気が通っていません。

今回の寄贈先3カ国のように、アフリカや南米では国内の地域格差が大きく、たとえ国全体の電化率は低くなくても、まだまだ電気にアクセスできない人々が大勢います。今後もパナソニックでは、国連機関やNGOの方々と協力しながら、現地に必要な支援を続けていきます。