2019.03.30Field Report
「みんなで"AKARI"アクション」に参加して。海外ボランティア特派員レポート
2014.05.22 Field Report
2013年3月に続き、2回目の寄贈となるインドでは、新しい4団体を含む6団体へ、4000台の寄贈を行いました。寄贈先団体のひとつ、World Vision Indiaの活動拠点であるオリッサ州の人々へのヒアリングの様子や、都市のスラム街の視察を通じて見えてきた課題についてお伝えします。
こんにちは。CSR・社会文化グループの奥田です。
先日ご紹介したインドネシア・スンバ島での寄贈式のあと、その足でインドへ向かい、3月18日にニューデリーにあるラリットホテルで寄贈式典を行ってきました。
インドでは、約5億人が、いまだ電気のない生活を送っています。とくに農村部の電化率は55.3%(*1)で、電気が来ている地域も1日数時間しか電気が使えず、停電や電圧の低下は当たり前です。
昨年、4つの団体と協力して5000台を寄贈しましたが、今回は、インド北部に位置するウッタル・プラデシュ州の無電化地域なども含めて、教育や保健医療などの分野で活動する6団体(CARE India、PLAN India、Society for All Round Development、World Health Partners、World Vision India、一般社団法人 日本福音ルーテル教会)にソーラーランタン4000台を寄贈しました。
寄贈式の前に、寄贈先団体のひとつ、World Vision Indiaが活動するオリッサ州への視察を予定していました。式に先立って寄贈を進めてくださっていたので、利用者のリアルな声が聞けると楽しみにしていたのです。ところが、選挙で治安が悪化しているということで、訪問は中止に......。
しかし、せっかくインドまで来て、現地の声を全く聞かずに帰るわけにはいきません!
相談の結果、チェンナイにあるWorld Vision Indiaのオフィスとオリッサ州の事務所をSkypeでつないで、寄贈状況やソーラーランタンを使用している村人の話を聞けることになりました。
World Visionは、キリスト教精神に基づいて開発援助、緊急人道支援、アドボカシー活動(市民社会や政府への働きかけ)を約100カ国で展開している国際NGO団体です。とくにWorld Vision Indiaでは、女性の地位向上および子どもの福祉向上に力を入れて取り組んでいます。
現地コーディネーターのミナルさんによると、低所得で子どもがいて、かつ電力へのアクセスのない家庭を優先にすでに39村で寄贈をすすめていますが、ソーラーランタンはまだまだ足りていないとのことでした。また、寄贈を終えたクシバンガ村とシタバンガ村の住民の方数人がオリッサの事務所に集まってくださり、Skypeを通じてソーラーランタンの使用感をヒアリングすることができました。
この他にも、蛇が出やすい夜道を出歩くとき、家での内職作業時に活用しているなど、各家庭でソーラーランタンが役立っている様子を聞くことができました。
7月頃には、街の治安も落ち着きそうとのことですので、実際にオリッサ州に足を運んで、今度は自分の目で見て感じた様子をまた報告したいと思います。
また今回、インドで3番目に大きい都市、バンガロールのスラム街にも視察に行きました。ここに住む人々は、トタンやブルーシートで屋根を覆ったシェルターで暮らしています。大きなマンションのすぐ隣に広がるスラムの光景に、経済的な格差の広がりを肌で感じました。
こうしたスラムに住む人たちの多くは、電力にアクセスができない状態にあり、ケロシンランプを使って生活しています。ケロシンランプの煙による健康への悪影響が懸念されますが、農村地域に比べ、都市部のスラムに支援の目が向くことは少なく、こうした地域で暮らす人々の問題は見過ごされがちです。
2013年に出た世界銀行のレポートによる(*2)と、過去20年間で途上国では大規模な都市化が進み、農村部から流入した人々のスラム化が問題視されています。現在スラムで生活する人は世界で8億2800万人。そのうち61%がインドを含むアジアに集中しています。さらに、2030年までに途上国で増加が見込まれている14億人のうち、96%が都市部に住むと予測されています。
現地に足を運び、こうした支援の手が行き届きにくい問題にもしっかりと目を向けながら、本当に必要としている人たちにソーラーランタンを届けられるよう、これからも取り組みを進めていきます。