カンボジア、ミャンマーで活動する24団体にソーラーランタンを寄贈しました

2014.12.26 Field Report

2014年11月中旬、カンボジアとミャンマーを訪問してきました。カンボジアでは16団体に2500台超、ミャンマーでは8団体に2000台超を寄贈し、両国への累計寄贈台数はそれぞれ8500台と7060台を超えました。

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カンボジアでは、新たに7団体が寄贈先に

こんにちは。CSR・社会文化グループの星亮です。

2014年度に寄贈を行う最初の国として、11月12日から15日にかけてカンボジアを訪問し、16団体にソーラーランタンを寄贈しました。そのうち、7団体が新たな寄贈先です。

新しい寄贈相手先団体の1つである「特定非営利活動法人 アジアの子どもたちの就学を支援する会(ASAP)」はシェムリアップ州で小中学校5校を建設し、その運営を支援しています。ソーラーランタンは、無電化村にある学校の教室に配備されるほか、先生が授業の準備に使用したり、貧困家庭の経済的自立支援に用いられたりする予定です。

「カンボジアこどもの学び支援チーム(C-LAC)」は、日本の人事コンサルティング会社と一級建築士、クラチエ州の州および郡の教育局と同州に派遣されている青年海外協力隊有志が結成した団体です。ソーラーランタンは、同会が今年9月に同州の無電化村に建設したラアック小学校で使用される予定です。

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特定非営利活動法人 アジアの子どもたちの就学を支援する会(ASAP)(左)カンボジアこどもの学び支援チーム(C-LAC)(右)。ASAPには、東京都あきる野市にある事務所で目録をお渡ししました。

教育支援センター「きずな」(ESC)」は、カンボジアにおける基礎教育の向上と地域発展の促進、都市部と地方との教育格差をなくすために、教師養成支援やラジオ英語教育による中学校教育支援を行っています。ソーラーランタンは、首都プノンペンから遠く離れた諸州の無電化地域で働く先生たちに貸与され活用されます。

教育、保健衛生、農村開発、技術支援などを行っている「ワールド・アシスタンス・フォー・カンボジア/ジャパン・リリーフ・フォー・カンボジア(WAFC/JRFC)」は、カンボジア全23州で約550の学校を建設しており、ソーラーランタンは特に無電化地域にある学校で活用されます。

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教育支援センター「きずな」(ESC)(左)とワールド・アシスタンス・フォー・カンボジア/ジャパン・リリーフ・フォー・カンボジア(WAFC/JRFC)(右)。WAFC/JRFCでは、孤児院等における識字教育でも活用されます。

カンボジア人の起業家イエン氏が立ち上げた「イエン財団(IF)」は、プレア・シアヌーク州とプレイベン州の小学校での活用を計画しています。教育の行き届かない地域で学校建設や、図書館の設置・司書の育成などを行っている「公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)」は、日本の政府開発援助(ODA)の一環でSVAがコンポントム州とシェムリアップ州の無電化村に建設した地域学習センター(CLC)で活用予定です。

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イエン財団(IF)(左)と公益社団法人 シャンティ国際ボランティア会(SVA)(右)

マイ・ハッピー・ビレッジ・カンボジア(MHVC)」は、シェムリアップ州の無電化村にあるプラサット小学校で英語教育をおこなっているNGOです。ソーラーランタンは、小学校の教室や図書室のほか、学校から1kmほど離れたところに建設されたボランティアハウス(ボランティアの教師が滞在する宿泊所)でも活用されます。

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MHVCが支援する小学校での寄贈式典(左)。ボランティアハウス(右)には英語圏や日本から来る英語教師が宿泊しています。

ミャンマーでの寄贈式典

カンボジア訪問後、ミャンマーに移動し、11月18日にスーレー シャングリ・ラ ヤンゴンホテルでおこなわれた「Panasonic Solutions Expo 2014」の記者会見の中で、ソーラーランタン寄贈式典を行いました。ミャンマーでの今回の寄贈先は8団体で、そのうち4団体が新たな寄贈先です。なお、2014年は「日・ミャンマー外交関係樹立60周年」でもあり、今回の寄贈は在ミャンマー日本国大使館から、その記念事業に認定されています。

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寄贈式典での様子

新たな寄贈先団体である「公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(SCJ)」は、カチン州、カレン州とザガインなど4つの管区において電力事情がよくない地区で働く助産師にソーラーランタンを貸与します。「特定非営利活動法人 ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)」は、カレン州の無電化村で村落開発委員会にソーラーランタンを無償で配布。同委員会から各家庭に賃貸されます。集金された賃料は地域の洪水対策の活動資金に充当されるそうです。

エーヤワディー管区で小学校を建設している「特定非営利活動法人 れんげ国際ボランティア会(ARTIC)」は5つの無電化村で利用希望者に配布され、利用者は毎月電気料を支払います。電気料は基金として貯められ、将来の村の開発事業に役立てられる予定です。ヤンゴン管区において9つの私塾を運営している「特定非営利活動法人 ビルメロの会」は、支援している無電化村の小中一貫校などにおいてソーラーランタンを活用する予定です。

ますます広がっていく地域格差を目の当たりに

ヤンゴン市の郊外では「特定非営利活動法人 ジャパンハート(JH)」が運営する養育施設Dream Trainを2年ぶりに再訪しました。すると驚いたことに、以前はなかった高層ビルがまわりに建ち並んでいました。

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水牛がのどかに草を食べる背景に見えるビル群。中には建設中のものもありました。

この光景は、急速に発展するヤンゴンの象徴だと感じました。しかし、同じヤンゴン管区でも中心部から離れるほど電力事情は悪くなり、無電化村もあります。他の管区や州にはさらに多くの無電化地域が存在します。

ミャンマーもカンボジアも近年経済発展が著しく、ヤンゴンもプノンペンも非常に活気が感じられます。しかし、これら都市部に対して、農村部は取り残されているのではないかという印象があります。両国とも地方の電化率は18%に過ぎません。いまだに電気がなく不便な生活をしている人々が特に農村地域に多く、都市と農村の格差がますます広がっていることを実感します。今後も綿密な調査、検証を行いながら、本当に必要な人々に、ソーラーランタンを届けていきたいという想いを新たにしました。