2019.03.30Field Report
「みんなで"AKARI"アクション」に参加して。海外ボランティア特派員レポート
2015.04.02 Field Report
2015年2月中旬、フィリピンにソーラーランタンを2,376台寄贈しました。電気のない遠隔地で支援活動をおこなっているNGOを通じ、教育や保健医療の現場でソーラーランタンを活用いただく予定です。
こんにちは。CSR・社会文化グループの星亮です。
パナソニックは、2015年2月中旬、フィリピンで活動する18団体に合計2,376台のソーラーランタンを寄贈しました。
フィリピンでは、これまでに二度、台風による被災者の緊急支援を目的にソーラーランタンを寄贈していましたが、ソーラーランタン10万台プロジェクトが目指す無電化地域の人々の生活向上に役立てていただくための寄贈は今回が初めてです。
2014年12月に認定NPO法人アイキャンに寄贈したソーラーランタンは、台風22号(ハグピート)の被災地で、夜の支援活動に活用されています。(©認定NPO法人アイキャン)
順調に経済成長を遂げているフィリピンですが、貧富の格差は大きく、発展を続ける都市部にもスラムが多く存在することに加えて、遠隔地は貧困のうちに取り残されています。また、台風や地震が多く、自然災害に最も弱い国の一つと言われています。
電力事情に関しては、アジアで1、2を争うほど電気代が高い上に、都市部でも停電がしばしば起こります。フィリピンの無電化人口は、国際エネルギー機関の最新データによると、2,870万人にも及び、山間部や島嶼部などにその多くが居住しています。
フィリピンで活動する複数の団体からソーラーランタン寄贈の要請を受けたことを踏まえ、昨年の夏に調査を実施した結果、無電化地域での電気照明に対する莫大なニーズを強く実感しました。そして、フィリピンの無電化地域に暮らす人々が直面しているさまざまな社会課題の解決に貢献するために、今回フィリピンへのソーラーランタン寄贈を決定し、実施しました。
2月17日、首都マニラで寄贈式を開催しましたが、現地の方々の関心には相当高いものがありました。当日は寄贈先団体、フィリピン政府、在フィリピン日本国大使館、メディアなどから約70人が参加し、その様子は、テレビや新聞でも大きく紹介されました。
寄贈式には、寄贈先団体、フィリピン政府、在フィリピン日本大使館と、約30のメディア関係者が出席しました。
今回、寄贈先団体の紹介と選定においては、一部に関して日比NGOネットワーク(JPN)および比日NGOパートナーシップ(PJP)のご支援をいただきました。PJP事務局であるCaucus of Development NGO Networks(CODE-NGO)には特にお世話になり、寄贈式ではCODE-NGOの事務局長 Sixto Donato C. Macasaetさんにスピーチをしていただきました。
ネットワークNGOを通じてのこうした公募に近い形式は初めてだったのですが、うれしいことに合計で40を超える団体から応募があり、改めてソーラーランタンのニーズの大きさを感じました。そして、その中から「無電化地域でソーラーランタンを活用する」「より多くのインパクトを出せるように原則として保健センター、学校や集会所など公的な場で公的な目的のために使用する」といった基準に照らし合わせて寄贈先の団体を決定しました。
CODE-NGOの事務局長Sixto Donato C. Macasaetさん
フィリピンで見過ごせない問題の1つが、先住民族の問題です。彼らの多くは道路や電気などインフラの整備が遅れている山岳地方で貧しい生活を強いられており、教育、保健医療、生活向上のための支援を必要としています。今回の寄贈先団体にも、こうした先住民族の課題解決に取り組む団体が多数あります。
Facebookページからの問い合わせがきっかけで、昨年7月末にその活動現場を視察し、今回寄贈を決めたSagip Sierra Madre Environmental Society Inc. (SSMESI)もその1つ。フィリピン北部ルソン島のシエラマドレ山脈のふもとに住む先住民族、ドゥマガット族を支援し、生活を依存する森林の保全や伝統文化の継承まで、幅広く活動しています。
今回の寄贈をとても喜んでくださり、ソーラーランタンを活用している写真をさっそく送ってくださいました。
SSMESIのオフィスに並べられた充電中のソーラーランタン
SSMESI代表のMartin Franciscoさん
ソーラーランタンを手に喜ぶ人たち
ソーラーランタンがどのように活用され、人々の生活の向上に役立てていただけるか−−。フィリピンでの活動はスタートしたばかりですが、地域に根差した活動をおこなう現地NGOの方々との連携を深めながら、さまざまな社会課題の解決に貢献していけたらと思います。