フィリピン:山間部・島しょ部の人々の生活向上に新たに2,400台を寄贈

2016.03.31 Field Report

昨年2月の寄贈から一年。フィリピンでは、教育や保健医療分野での社会課題解決にソーラーランタンが活用されています。2015年度は、新たに2,400台のソーラーランタンが15団体に寄贈されました。

こんにちは。プロジェクトリーダーの星です。

パナソニックではこれまで、2013年12月に台風30号(ハイエン、ヨランダ)の被災者支援の目的でフィリピン政府社会福祉開発省に1,002台、2015年2月に教育や保健医療分野で活動する18団体に2,376台など、4回にわたってソーラーランタンを寄贈してきました。フィリピンへの累計寄贈台数は2015年12月までに3,414台に達していました。

深夜でも安全に出産が行えるように

前回の寄贈先のひとつで、貧困地域での診療や地域の保健医療を担う人材育成に取り組んでいるズリック・ファミリー財団(ZFF)は、約66万人が住む4つの州にある病院や診療所にソーラーランタンを配布しています。

フィリピンの南西部に位置する人口3万人弱のタウィタウィ州シブツ島では、電気が使えるのは午後4時から真夜中まで。発電機を持たない町の診療所(rural health unit)では、深夜の照明がなく困っていたそうです。ソーラーランタンが配布された2015年2月から同年12月までの間に323人の赤ちゃんが誕生し、深夜でも安全にお産を行うことができるようになりました。

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タウィタウィ州の診療所では、深夜のお産でソーラーランタンが大活躍

島にあるDatu Alawaddin Bandon Memorial Hospitalにも、ソーラーランタン2台が配布されました。ここにはベッドが10床あり、平均約7人の患者が入院しています。ソーラーランタンは、主に救急救命室と薬局で使われていますが、発電機が故障した時は病室でも使われているようです。

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出産を終え、休んでいる母親。ソーラーランタンが枕元を優しく照らしています。

新たな団体が加わり、盛り上がった寄贈式

2016年2月23日、新たに2,400台のソーラーランタンを寄贈するため、パナソニック マニュファクチャリング フィリピン株式会社(PMPC)で寄贈式がおこなわれました。15団体中、5団体が新たな寄贈先です。

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【2015年度の寄贈先15団体】(五十音順)
・家族計画推進異教徒間パートナーシップ
・金光教平和活動センター 情報室
・コンラード&ラディスラワ・アルカンタラ財団
・ジーザス・V.デル・ロザリオ財団
・シネルジェィア財団
・小規模農漁民組織全国連盟
・ジョセファ・セゴビア財団
・先住民教育パムラーンセンター
・代替医療総合医学センター
・ダバオ医科大学財団 一次医療研究所
・特殊教育拠点センター財団
・万人のための保健開発財団
・フィリピン・シェル財団
・フィリピン社会事業団
・マンギャン・ミッション

新たに加わったのは、障がいのある子どもの教育や先住民族の学習支援、小規模農家や漁師の自立支援など、いずれも地域密着型の活動をおこなう団体です。今までつながることができなかった方々に明かりを届けることができ、うれしく思っています。

今回の寄贈により、フィリピンへのソーラーランタン累計寄贈台数は5,814台になりました。

格差是正の一助になりたい

フィリピンは、国全体としてみると、順調に経済成長を遂げています。しかし実際には、発展を続けているのは都市部の中産階級以上の人々が中心で、山間部や島しょ部などでは、電気のない、貧しい生活を送る人々がたくさんおり、国際エネルギー機関の最新データ※1によると、同国で電気のない暮らしを送る人の数は1億を超える人口のうち2,100万人にものぼります。特に山間部や島しょ部に暮らす先住民の人たちが取り残されていると実感しています。フィリピンの無電化地域に暮らす人々が適切な教育や保健サービスを受けられるようになることで、その生活に好ましい変化が生じるように、今後もソーラーランタンの明かりを通じてサポートを続けていきたいと思います。

  1. 国際エネルギー機関(IEA)のWorld Energy Outlook 2015より