ミャンマー:無電化村で社員ボランティア特派員が見た世界

2017.10.30 Field Report

2017年9月16日〜20日、選考によって選ばれた社員ボランティア特派員6名がミャンマーの無電化地域を訪問し、現地の暮らしやソーラーランタンの活用状況を視察してきました。

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無電化地域を訪れ、寄贈したソーラーランタンがどのように役立っているのかを確かめる社員ボランティア特派員。今年1月のインドネシアに続き、今回はミャンマーのモフービン県にある3つの村を訪問しました。

選考によって選ばれたのは、技術やマーケティング、人事などの部門に籍を置く6名。ランタンプロジェクトを知ったことが入社の決め手というメンバーや、「子どもたちに自身の経験を伝えたい」と参加を決めたインドネシア出身のメンバーなど、動機はさまざまですが、皆パナソニックの企業市民活動がどのように社会課題の解決に役立っているのかを自らの目で確かめ、今後に生かしていきたいというのが共通した思いでした。

視察は4日間のスケジュールで、学校や集会所、住民の家を訪ねて回りました。社員ボランティア特派員によるレポートを紹介します。

ソーラーランタンが建てた学校を訪ねて

訪れた村の一つ、ターヤーゴン村では、小学校を訪問しました。レンガ造りの校舎は外観も新しく、700人ほどの生徒が通います。実はこの学校、ソーラーランタンの寄贈によって建てられたものです。住民にソーラーランタンを有料で貸し出し利用料を回収する仕組みを取り入れ、貯めたお金で新しい校舎と寮を建設したのです。ソーラーランタンは、子どもたちの勉強する手元を明るく照らすだけでなく、学習環境そのものを大きく変える力となったようです。

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授業を見学させていただけるということで、教室に足を踏み入れると、薄暗いなかで熱心に勉強する子どもたちのようすが目に入ってきました。雨季で外では激しい雨が降っていたこともありますが、ソーラーランタンは各家庭に貸し出しているため、教室には明かりがないとのことでした。

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3年生を教える先生は、高校を卒業したばかりの16歳の少女で、大学進学までの間ボランティアで教えているとのこと。校舎は整っても教師の質・数ともに足りておらず、子どもたちが集中して勉強に取り組める環境づくりはこれからだと感じました。

視察に同行したれんげ国際ボランティア会(ARTIC)の平野善幸さんは、「コンピュータやインターネットがあれば授業内容も充実させることができるが、そのような機器もなく、電気も安定していないため難しい。今後は教育環境の整備に力を入れていきたい」と話していました。

ソーラーランタンが暮らしを豊かにし、人やコミュニティの絆を深める

ザチェ村では、寄贈の前と後で日々の生活がどのように変わったのかを確かめるため、ソーラーランタンを利用している家庭を訪ねてまわりました。

ある女性は、農作業が少ない時期にミャンマーの伝統的な麺料理である「モヒンガ」を売っています。ソーラーランタンの明かりのおかげで、夜の間に仕込みができるようになり、以前よりも稼ぎが増えたそうです。また、コーンの葉を使って紙たばこをつくり販売している女性も、「明かりのおかげで作業効率があがった」と話していました。明かりが収入向上につながっていることが確認できました。

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小さい子どもがいる家庭では、ソーラーランタンの明かりが一晩中あることで、安心感を得られるようになったといいます。「明かりをつけておけば、なにかあったときにすぐ子どもの面倒をみることができる」とうれしそうに話していました。

そのほか、夜に家族だんらんの時間ができた、村の集会が開かれるようになった、という声も聞きました。ソーラーランタンが、人と人とをつなぎ、家族の、そしてコミュニティの絆づくりにつながっていました。

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ソーラーランタンは、室内を照らす明かりとしてだけではなく、屋外でも活用されていました。離れたところにあるトイレに行くために、あるいは夜に食用のカエルを捕まえるために、また畑に設置して害虫を駆除するために、持ち運びしやすい特性を生かしてさまざまなシーンで工夫して使われていました。

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"A Better Life, A Better World"を叶えるためにパナソニックが果たすべき役割

ソーラーランタンが村人の暮らしのさまざまなシーンで役立っていることが確認できた今回の訪問。明かりは、無電化地域の人々の暮らしを確実に変えています。「幸せな瞬間は?」との質問に、「ソーラーランタンを手にしたとき」と答える村人もいました。

しかし一方で、未来に対する不安の声を耳にしたことも事実です。今のソーラーランタンが壊れ、明かりがなくなってしまったら...? 一度明かりの便利さを知ったら、後戻りすることはなかなか難しい。メーカーとしての責任の重さと、人々が必要な時に手に入れられるよう明かりを届ける仕組みをつくる必要性を強く感じました。

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社会を変えていくためにはパワーが必要です。技術や資金、生産能力のある民間企業が果たすことのできる役割には大きなものがありますが、当然1社だけでできることには限界もあります。「A Better Life, A Better World」の実現に向けて、多様なステークホルダーとの連携も視野に、さまざまな形で支援の輪を広げていきたいと思います。

最後に、今回の視察に同行してくださったARTICの皆さま、暖かく受け入れてくださった現地の皆さま、本当にありがとうございました!

社員ボランティア特派員の感想を紹介

久米さん:
「無電化地域の人々は未来のお客様。そうした方々が抱えている問題やニーズにしっかりと目を向け、歩み寄り、商品に生かすことで、ブランドへの信頼を築いていく大切さを学びました」

梶井さん:
「村の子どもたち大人たちには夢があり、それを叶えるためにランタンが役立っていました。無電化村の方たちが抱える社会課題の解決に貢献できるよう、今後も頑張りたいです」

アンディさん:
「明かりを手にして笑顔で夢を語る子どもたちの姿を見て、より多く人々の笑顔と夢のために、これからも貢献していきたいと思いました」

石黒さん:
「ソーラーランタンは、人々の生活をより豊かにし、安心感と夢を与える希望の光でした。実体験から得たリアルな情報を、採用活動を通じて多くの学生に発信していきたいと思います」

松尾さん:
「"明かり"が人々に与える力の大きさを痛感しました。ソーラーランタンが世界の人々に幸せを運んだように、私もパナソニックの一員としてさらに精進したいです」

新延さん:
「無電化村の人たちの教育にかける思いをしっかりと受けとりました。薄暗い中でも一生懸命に学ぶ子どもたちの姿を見て、社会の公器として彼らの期待に応えるモノづくりをしたいです」