インドネシア:2年前の寄贈地・フローレス島へ2度目の視察を実施

2018.03.08 Field Report

2016年3月に寄贈したインドネシア・フローレス島の無電化村を訪れました。寄贈から約2年たち、ソーラーランタンが村人たちの生活にどのように役立っているのかを視察してきました。

こんにちは。CSR・社会文化部の奥田です。

10万台の目標達成となるインドネシア寄贈式を目前に控えた1月28日、2年前に寄贈したIndonesia Midwives Associationが活動するフローレス島東部のリアンバリン村を訪問しました。到着すると、村人総出で私たちを出迎えてくださり、歓迎セレモニーを開いてくれました。

201802_indonesia_1.JPG

道案内してくれる村人のみなさん

出産・育児・教育の現場で役立つソーラーランタン

寄贈先団体のIndonesia Midwives Associationは、インドネシア全体で44万8,000人いると言われる助産師の資格を付与する組織です。また、緊急時に隣町から救急車を配備したり、助産師同士の応援体制や情報共有の仕組みを整えたりすることで、地域全体で妊婦さんを支えています。

201802_indonesia_2.JPG

ソーラーランタンの明かりのもとで誕生した赤ちゃん

フローレス島東部エリアの助産師を取りまとめているIndonesia Midwives Associationのジョリア・パルミンさんは、「ソーラーランタンの明かりのもとでは適切なお産介助ができるので、新生児の死亡率が下がりました。また、両親が産後すぐに赤ちゃんの顔を見ることができるため、子どもへの愛着が形成され、その後の健全な育児につながる。それが、育児放棄などの問題解決にもつながっていくのです」と話しました。

201802_indonesia_3.JPG

Indonesia Midwives Associationのジョリア・パルミンさん

ソーラーランタンは、学校でも活用されています。ある教師は、「ソーラーランタンの明かりのおかげで、夜7〜8時にも補習授業を行えるようになった。進級に向けたフォローアップができ、子どもたちの学ぶ意欲も高まっている」と喜んでいました。

201802_indonesia_4.JPG

補習クラスで学ぶ村の子どもたち

夜間の作業が可能になり、収入アップに貢献

村人たちの多くは農家で、雨季の12〜3月にコーンやカシューナッツを生産し、生計を立てています。農作業ができない雨の日や乾季は、出稼ぎをしたり漁をしたり、織物を作ったりして、副収入を得て暮らしています。村に電気のグリッドはひかれていますが、供給が不安定で、2週間電気が来ないこともよくあります。ソーラーランタンが来るまでは、灯油ランプや薪を主な明かりとして使っていたそうです。

村の女性たちは、東フローレスで有名な伝統織布「イカット織」を織って家計を助けています。従来は週に2回ほど、日中に集まって作業をしていましたが、ソーラーランタンが来てからは、夜の作業もできるようになり、週あたりの生産枚数が倍に増えたそうです。

201802_indonesia_5.JPG

「イカット織」を織る女性たち。共同作業で仕上げていきます。

201802_indonesia_6.JPG

網の手入れをする男性たち

一方、漁に出る男性たちは、夜、網の修理や手入れをするときにソーラーランタンを活用しています。ある男性は、「夜、網の手入れができると、翌朝スムーズに漁にでることができるようになった」と話していました。

なによりも印象的だったのは、寄贈から2年たっているとは思えないほどソーラーランタンがきれいな状態で、大切に使われていたことです。中には、「汚れないように」とビニール袋に入れて大事に使ってくれている人もいました。

より多くの人々のBetter Lifeを実現するために

さまざまなシーンで、ソーラーランタンが活躍していることを確かめることができた今回の視察。寄贈から2年という月日を経て、ソーラーランタンは村人たちの生活を確実にBetter Lifeへと変えていることを確信しました。

目標としていた寄贈台数10万台を達成し、「ソーラーランタン10万台プロジェクト」は次のフェーズへと向かいますが、今回出会った村人たちの笑顔を活力として、これからも無電化地域に暮らす人々に明かりを届けていきたいと思います。