2019.03.30Field Report
「みんなで"AKARI"アクション」に参加して。海外ボランティア特派員レポート
2014.01.28 Field Report
2013年11月下旬から12月上旬にかけて、ミャンマーとカンボジアに合計4500台のソーラーランタン新製品(BG-BL03)を寄贈しました。ミャンマーで開催された新製品発表会兼寄贈式典の様子と、カンボジアにおける寄贈の様子をご紹介します。
こんにちは。CSR・社会文化グループの星亮です。
11月27日から12月7日にかけて、ミャンマーとカンボジアにソーラーランタン計4500台を寄贈するために、両国を訪問してきました。今回寄贈に使われたのは、2013年10月に発表された新製品(BG-BL03)です。
11月29日(金)、ミャンマーの旧首都ヤンゴンで、2014年1月から販売も開始される新製品の発表会と合わせて寄贈式典が開催されました。会場となったチャトリウム・ホテル・ロイヤル・レイク・ヤンゴンには、来賓、寄贈先5団体の関係者のほか、報道関係者を含めて100名以上が集まりました。パナソニック ミャンマー支店長のあいさつに始まり、新製品発表、寄贈式典に続いて報道関係者との質疑応答では活発なやりとりが行われ、新製品およびソーラーランタン10万台プロジェクトへの関心の高さを改めて実感しました。
ちなみに、2013年は日本とASEAN(東南アジア諸国連合)の交流が開始されてから40年という節目の年。このソーラーランタンの寄贈も、日本の外務省によって、日・ASEAN友好協力40周年記念事業のひとつに認定されました。
新製品発表会の様子
今回、ミャンマーでは新たな寄贈先に、「セダナー(Saetanar)」が加わりました。ミャンマー語で「思いやり」や「慈悲」を意味する「セダナー」は、中国・タイ・ラオスの国境と接する地域、シャン州を拠点に活動を展開。「基礎教育の充実が地域社会の発展に不可欠である」という理念のもと、学校建設を通じて農村開発に取り組んでいます。この10年間で約200校を建設し、子どもたちに教育の機会を提供してきました。今回寄贈したソーラーランタンもこうした学校に届けられ、主に学びの場で利用される予定です。
セダナーの支援により建設された学校で学ぶ子どもたち(セダナーより提供)
私たちの活動は「贈って、それでおしまい」というものではありません。「この寄贈が無電化地域における社会課題の解決に真に役立ってほしい」という願いを込めて、ソーラーランタン10万台プロジェクトを推進しています。ですから、どの団体に贈るかという選定には慎重になります。寄贈後も1年間は、活用状況に関する報告書を数回提出していただいています。無電化地域や電力事情の悪い地域においてソーラーランタンが人々の暮らしの改善に確かに役立っていることをしっかり見届けることは、本プロジェクトを進める上での私たちの責任であると考えています。
セダナーはコミュニティの人々の主体性を尊重し、それを引き出すような取組みを推進されていますので、ソーラーランタンを必ず有効に活用していただけると期待しています。
ミャンマーの後、12月上旬に訪れたカンボジアでは、計9団体に寄贈しました。そのうちのひとつは国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)です。ユネスコに対するソーラーランタンの寄贈は、当社とユネスコとのストラテジックパートナーシップ契約に基づいたものです。ユネスコへの寄贈に関しては、その式典を、12月3日、シェムリアップにあるホテルで実施し、その他の8団体に関しては、寄贈相手先各団体の事務所を訪れて目録をお渡ししました。
まず、12月2日に、シェムリアップに事務所のある「アンコール遺跡の保全と周辺地域の持続的発展のための人材養成支援機構(JST)」と「かものはしプロジェクト」を訪問しました。ともに2012年3月にもソーラーランタンの寄贈を行った団体です。
JSTでは、目録贈呈の後、同団体が土地の提供を受けて、校舎を建設したバイヨン中学校を案内してもらい、子どもたちが熱心に勉強している様子を見学しました。ソーラーランタンはこの中学校の教育に関連する活動で活用される予定です。
バイヨン中学校では、校長先生(右から2番目)に学校内を案内していただきました。
かものはしプロジェクトでは、前回視察したコミュニティ・ファクトリーで目録を贈呈しました。こちらでは、従業員の縫製作業以外に、「昼休みに実施されている識字教室の出席率が高い従業員に、インセンティブとしてソーラーランタンを貸し出す」などユニークに活用いただいています。今回寄贈したソーラーランタンもさまざまな工夫をこらして有効に活用していただけるのではと考えています。
ミシンで工芸品を縫製する従業員の一人に、新型ソーラーランタンを試してみていただきました。十分な明るさで手元を照らすことができました。
今回初めて訪れた第2工房のサテライト・ファクトリーの従業員の方たちと記念撮影。こちらでもソーラーランタンを活用いただく予定です。
12月4日は、プノンペンに場所を移して6つの団体を訪問しました。そのうち、「ASACカンボジアに学校を贈る会」、「幼い難民を考える会(CYR/CYK)」、「国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)カンボジア事務所」、「シェア=国際保健協力市民の会」の4団体は、2012年の前回に続き、今回が2回目の寄贈となります。
ASAC カンボジアに学校を贈る会(左)と幼い難民を考える会(CYR/CYK)への寄贈
国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC) (左)とシェア=国際保健協力市民の会(右)への寄贈
「Cambodia Education Assistance Fund(CEAF)」と「LIFE WITH DIGNITY(LWD)」は、今回、新たな寄贈先として加わった団体です。CEAFはプレイベン州で、カンボジア日本友好学園という中学校を運営し、未来を担う子どもたちの教育に力を注いでいます。ソーラーランタンはこの中学校での教育に活用されます。
LWDでは、保健衛生に関する啓発活動、極貧家庭への支援、教育などでソーラーランタンが活用される予定です。
CEAF代表のコン・ボーンさん(中央)は、日本に難民として滞在していたこともあります。CSR・社会文化グループの小川GM(右から2番目)より目録が授与されました。
LWDには、私たちの訪問に合わせて、寄贈式典を実施いただきました。感謝状をいただき、感激しました。
寄贈を終えたあと、幼児教育や女性の自立支援を行っている幼い難民を考える会(CYR/CYK)の活動現場を視察しました。同団体の女性の自立支援の拠点、タケオ州にある織物研修センターを訪問すると、前回寄贈したソーラーランタンが今もきちんと活用されていて、とてもうれしくなりました。
織物研修センターは、女性たちに伝統織物の技術を教え、経済的な自立を促すための場。年間10名の女性たちがここに住み込み、1年間みっちりと技術を学びます。研修を終えた女性たちは機織り機を譲り受けることができ、さらに、作った織物はCYR/CYKに買い上げてもらえるなどバックアップ体制も整っています。
織物の技術を教えることはもちろん、CYR/CYKでは織物で収入を得られる仕組みづくりにも取り組んでいます。
織物技術センターで製作された色とりどりのスカーフ。
センターで暮らす女性たちは、限られた時間のなか、少しでも高い技術を習得しようと、夜遅くまで作業しています。その姿がとても印象的でした。センターには蛍光灯があるものの、夜間の作業には明るさが不十分です。そこで、手元を照らす明かりとしてソーラーランタンが大活躍。とりわけ新型のものは簡単に吊すことができるので、重宝すると好評でした。
ソーラーランタンを立てかけたり、吊したりしながら、夜遅くまで黙々と作業しています。
ある女性の自宅での仕事風景。高床式の家の1階が作業場となっています。
近年、ミャンマーもカンボジアも着実に経済発展を遂げていますが、今なお無電化地域は多く存在しています。また、両国ともに、農村部では幹線道路沿いには電気が来ているものの、少し離れると電気が届いていなかったり、電気代が高すぎて貧しい家庭は使えなかったり、という現状があります。さらに、ミャンマーでは水力発電が主であるため、乾期になると停電が頻発します。
現在発展を遂げつつあるミャンマーとカンボジアですが、発展からまだ取り残されている人たちがたくさんいます。だからこそ、本当に必要としている人たちにソーラーランタンを届けたい。そのためには、現地の情報に対してアンテナを張り巡らせ、社会課題を解決しようと真摯に活動する団体を積極的に支援していきたいと考えています。ソーラーランタンが今後どのように活用され、現地の人々の生活に役立てられていくのか、しっかりと見届けていきたいと思います。
※ここでご紹介しているソーラーランタンBG-BL03は国内では販売しておりません。