【Voice】ドロップアウトを防ぐソーラーランタン: 国連開発計画(UNDP)ケニア

2015.12.28 Voices

ケニアでは、寄贈先団体のひとつ国連開発計画(UNDP) ケニアを通じて、病院や診療所、学校にソーラーランタンが配布されています。配布先の小学校では、ソーラーランタンが子どもたちのドロップアウトを防止するのに役立つことが期待されているとのこと。一体、どのように活用されているのでしょうか?

パナソニックの皆様、こんにちは。寄贈いただいたソーラーランタンは、ケニア北部のサンバル・カウンティにある9つの学校と5つの診療所に、イシオロ・カウンティにある10の学校と1つの診療所に配布されました。ケニアの石油・エネルギー省と共にプロジェクトを立ち上げ、現地で活動するエワソ・ンギロ川地域公社(ENNDA)とともに配布を行っています。

小学校に通い続けられない子どもたち

Inger Haugsgjerd_Solar lanterns-12.jpg

ケニアでは、2003年から小学校の学費が無料になりました。にもかかわらず、ドロップアウトしてしまう子どもたちが少なくありません。あるシンクタンクの調査によると、2003年には130万人が入学しましたが、最終学年の8年生まで在籍できたのは87万5300人と、約3人に1人が通い続けることができませんでした。

その理由は、家事の手伝いや病気の家族の世話をしなければならない、親が教育の重要性を理解せず通学を認めない、施設費や教材費が払えないなど多岐にわたっています。ドロップアウトは農村地域の貧困家庭の子どもに多いのですが、貧困を抜け出すためには学校へ通い、学び続けることが大事です。一旦通えなくなると復学するのは難しいため、学校側はあの手この手でドロップアウトを減らそうとしています。そこで今回、ソーラーランタンを活用した新たな方策が始まりました。

ソーラーランタンは自宅で使い、充電は学校で

Inger Haugsgjerd_Solar lanterns-11.jpg

初めて手にするソーラーランタンに興味津々の生徒たち

ソーラーランタンのもっとも有効な使い方について検討した結果、出されたアイディアは、学校に充電用のパネルを置いておくというものでした。子どもたちは、毎日下校時に照明の部分だけを自宅に持ち帰り、夜の自習で使います。そしてまた登校時に持参し、充電は学校で行うのです。充電するためには学校に行かなければならない、という状況を作ることで、生徒のドロップアウトを減らすことを目指しています。

ソーラーランタンの貸し出し対象は小学4年生以上で、卒業後、ソーラーランタンは返却され、また在校生に貸し出されるというように循環する仕組みになっています。卒業後に進学する学校の大半が電気のある全寮制なので、その後の勉強に支障はありません。

Inger Haugsgjerd_Solar lanterns-13.jpg

配布にあたり、子どもたちはソーラーランタンの使い方やメンテナンス方法をしっかり教わります。

学校にとって、ソーラーランタンはまさに理想的な支援でした。校長は「貧困に苦しみ、大変な環境で生活している生徒にとって、このような支援は最もありがたい」と話していました。生徒の多くが伝統的な家屋に住んでおり、それまで使っていたケロシンランプだと火事の危険があったのですが「ソーラーランタンなら、安心で本当に助かる」と生徒の家族も喜んでいます。

ソーラーランタンを通して、ケニアの医療ケアの充実や、子どもたちの勉強をサポートしてくださるパナソニックの皆様に、本当に感謝しています。今後も、寄贈先の状況を見守り、よりよい活用法を考えていきたいです。