大学受験までの道のりをサポートするソーラーランタン:e-Education Bangladesh

2016.10.14 Our Partners

バングラデシュの貧しい村の高校生にDVDを使った授業を提供し、多くの学生の大学受験を成功に導いているe-Education Bangladesh。ダッカ大学をはじめとした国内でトップクラスの大学への進学者も多数、輩出しています。代表のマヒンさんに、活動の内容や寄贈したソーラーランタンに対する学生の反応などをお聞きしました。(対談日:2016年8月24日)

20161011_lantern_1.jpg

農村地域の高校に、ソーラーランタンを配布

マヒン:ソーラーランタンを寄贈いただき、ありがとうございました。現在、私自身の手で各地の学校に届けています。毎回写真を撮っているので、私のスマホは今、写真でいっぱいですよ(笑)。

奥田:マヒンさんが直接、届けて回ってくださっているのですね。ありがとうございます。どういったところに配布しているのですか?

マヒン:首都ダッカから車や船で数時間のところにある3つの農村地域で、高校を中心に50カ所に配布しました。その中には私の故郷チャンプールもあります。いずれも貧しい地域です。

20161011_lantern_2.jpg

マヒン:バングラデシュの電化率は55~60%なのですが、今回配布した地域は特に電化状況が悪く、停電が頻発したり、そもそも家に電気が通っていなかったりします。勉強を始めたら30分で停電になり、仕方なく続きは灯油ランプを使って、ということがよくあります。

奥田:いつ明かりが使えるか分からないのでは、勉強がはかどりませんね。それぞれの高校では、どのようにソーラーランタンを使っているのですか?

マヒン:成績が良いこと、家庭に電気が通っていないこと、家が貧しいこと。これらの基準で選ばれた生徒が、ソーラーランタンを家に持ち帰ることができ、勉強はもちろん、家族の携帯の充電などに活用しています。また、図書室など学校に置いて使っているものもあります。

奥田:有効に活用いただいているようで嬉しいです。みなさんからの反応はいかがでしょう?

マヒン:"So GREAT!(素晴らしい!)"の一言に尽きます。何名かの家庭を訪問したのですが、将来のために大切な勉強を長時間できるようになり、とても喜んでいました。5人の子どもたちが揃ってソーラーランタンの明かりで勉強している家もありました。配布した地域では、パナソニックさんがすっかり有名になりましたよ(笑)。

20161011_lantern_3.jpg

DVDの授業で大学受験を目指す

奥田:ところで、今回配布した高校はe-Education BangladeshさんのDVD授業を取り入れている高校なのですか?

マヒン:はい。私たちが制作したDVD授業を導入している、農村にある公立高校です。こうした提携校は現在約100校あり、合計6万人の生徒がいます。有名な先生の授業を録画した映像教育はめざましい効果があり、今まで教えてくれる先生がいないので進学を諦めていた高校生が、大学受験に挑戦するようになりました。また私たちの直営校が4校あり、そこでは半年間かけて受験勉強をサポートしています。毎年400人ほどが在籍し、6年で2400人が大学受験に挑戦。そのほとんどが合格し、進学の夢をかなえています。

20161011_lantern_4.jpg

マヒン:私も学生の頃、必死に勉強して、ダッカ大学に入ることができました。故郷の村からは初めての合格者でした。それが6年前にe-Education Bangladeshの授業を村で取り入れた結果、これまでに8人が合格しています。現在、ダッカ大学にはe-Educationの受験勉強を経て入った学生が50人もいるんですよ。

奥田:ダッカ大学といえば国内で最高峰の大学ですよね。すごい成果です。こうした実績もあり、バングラデシュ以外の地域でも、パナソニックではNPOサポートファンドを通じてe-Educationさんの活動を支援しています。教育は貧困の連鎖を断ち切るためにも非常に重要ですね。

20161011_lantern_5.jpg

マヒン:おっしゃる通り、教育を通じてpoverty cycle(貧困の悪循環)を断ち切ることは、とても重要です。バングラデシュでは大学を卒業した人、特にトップレベルの大学を卒業した人は、良い仕事に就くことができます。小中学校の進学率は9割以上と高い一方で、大学進学率は12%しかありません。学生の進学支援を行っていくことで、20年後には多くの人々が貧困を抜け出しているはずです。

奥田:そうして、マヒンさんのような、子どもたちの明るい未来をつくっていくような仕事をする若者が増えるといいですね。

"Very small, but high social impact"

マヒン:受験勉強をしていたころ、夜中の1時まで勉強するのが私の夢でした。でも灯油ランプは燃料代がかかるし、身体にも悪いので、最大2時間しか使えませんでした。ソーラーランタンなら4〜5時間続けて勉強できますよね。しっかり勉強ができれば、未来を切り開くことができる。配布先の高校の先生が、ソーラーランタンについて"It looks very small, but social impact is very high (とても小さいけれど、社会に大きなインパクトを与える製品だね)"と言っていました。本当にその通りだと思います。

奥田:「小さいけれど、社会に大きなインパクトを与える」。まさに、私たちがソーラーランタンの寄贈活動を通じて目指していることです。

マヒン:灯油ランプの燃料代がかからなくなるので、家計への影響も大きいです。学生はもちろん、家族や先生など、ソーラーランタンのまわりには笑顔が溢れていますよ。今後は灯油ランプからソーラーランタンに変えることでどんな変化が起こったか調査してみたいです。まずは今から3~4か月後に、効果をご報告します。

奥田:ソーラーランタンを使って勉強した学生が、一人でも多く大学試験に合格することを願っています。これからも、より多くの学生が明かりの下で勉強できるように、一緒に取り組んでいきましょう。

20161011_lantern_6.jpg