【Voice】森と生きる人々を照らす光:WWFジャパン

2016.11.02 Voices

インドネシアのスマトラ島で森林保全活動を続けるWWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)からレポートが届きました。2016年3月に横浜で開催されたイベント「アースアワー」を支えたソーラーランタン60台は、スマトラ島のブキ・バリサン・セラタン国立公園周辺の夜間パトロール、そしてその周辺の学校での環境教育や夜間学習で活用されています。

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こんにちは。WWFジャパンの川江です。
パナソニックの皆さまに寄贈いただいたソーラーランタンは、スマトラ島の森林や人々の暮らしを守るために活用されています。島の人々から届いたメッセージをお伝えします。

野生生物を森へ戻すパトロールで活用

世界で6番目に大きな島であるスマトラ島は、熱帯雨森に覆われ、世界屈指の生物多様性を誇っています。しかし、この100年で森が急激に減少しました。紙パルプやパームオイルの生産、鉱山の開発などで森林が伐採され、数多くの希少な野生生物のすみかが奪われるなどされ、絶滅の危機に追い込まれているのです。

人と野生生物の間で悲劇的な事故も発生しています。島南部のブキ・バリサン・セラタン国立公園では、ゾウやトラが近隣の村の家や畑を荒らすため、"害獣"として地域住民によって殺される事件が起きていました。

WWFは、こうした事態を防ぐため、地域住民によるパトロールを支援しています。作物の収穫期になると、農家の人々は畑に設置したやぐらにのぼって、一晩中動物の侵入を見張り、ゾウが現れたときには、花火や空砲で森へ追い返します。ソーラーランタンは、そうした夜間パトロールを担うグループに配られ、活用されています。

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「以前使っていたヘッドライトは電池の消耗が激しく、費用がかさむのが問題でした」と話すのは、パトロール隊リーダーのワルソノさん。ソーラーランタンが寄贈されてからは、やぐらの周辺がいつも明るく照らされ、燃料費も一切かからないと喜んでいました。

子どもたちの環境教育にも活用

ソーラーランタンは、WWFが「持続可能な開発のための教育(ESD)」をサポートしている国立公園周辺の3つの小学校でも活用されています。都市部から離れた場所にある、カランレジョ小学校のハリス校長先生は、「夜間の課外授業で生徒たちがコーランを読む際や、頻繁に起きる停電時に利用している」と言います。

ダタラジャン小学校では、各クラスにソーラーランタンを置き、生徒たちが二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーについて学ぶ教材としても活用しています。スカマジュ小学校でも、授業の題材にソーラーランタンを取り上げ、電気の大切さや再生可能エネルギーについて教えています。また、夜、先生たちが翌日の授業準備をする際にも使っているそうです。

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ソーラーランタンは、自然とともに生きる人々の未来を優しく照らしてくれています。これからも地域を守り、人を育てる活動に役立てていきます。