「ソーラーランタン10万台プロジェクト」社員ボランティア特派員レポート

2017.01.19 Field Report

2017年1月3日〜7日、選考によって選ばれた有志社員2名が、インドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州を訪問しました。初めて目にした無電化地域の生活、そしてソーラーランタンの活用状況とは。特派員によるレポートをお届けします。

パナソニック社員がソーラーランタンの活用現場を視察

パナソニックは、新興国・途上国の社会生活の改善と向上に貢献するため、無電化地域に10万台のソーラーランタンを届ける活動を行っています。

2016年3月、社員の寄付によって寄贈が実現した500台のソーラーランタンは、インドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州スンバ島の診療所などに届けられました。寄贈したソーラーランタンの利用状況を確認するため、社員の中から選ばれた笹元博美さん、竹内啓祐さんの2名が社員ボランティア特派員として現地に派遣されました。

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特派員に選ばれた笹元博美さん(左)と竹内啓祐さん(右)

現地を訪問してわかった無電化地域の暮らしの現状

無電化村へ向かう道路は、アスファルトが剥がれたガタガタ道。どこまでも続く大自然と放牧されている馬、山羊、水牛を眺め、癒されながらの約3時間のドライブを経て、目的地に到着しました。
山間部にある村のため、電気や水の問題に加え、交通手段が整備されていないなど、課題も多いそうです。訪問した日も、公共のバスがもう2週間も来ておらず、再開のメドも立っていないとのことでした。

【ヘルスクリニック】

ヘルスクリニックでは、村人のケアにあたっている看護師さんが優しく迎えてくれました。寄贈したソーラーランタンは、夜間、真っ暗な山道を急患診療に出向く際、行き先を照らす手段として活用されているそうです。看護師さんの到着を待っている患者さんのためにも、安全にかつ早く向かうための大切な明かりとなっていました。

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【村役場】

村役場では、ちょうど年に1回の地方政府との会合が開催されており、多くの村人が私たちを握手と笑顔で迎えてくれました。

村長の家など一部の家庭では、政府から分割払いで支給してもらえる太陽電池とLED電球が使用できるシステムがありますが、山奥という土地柄のせいか、そのほとんどはメンテナンスが行き届いておらず壊れているそうです。水も湧き水を汲みにいくしかなく、距離にすると100m程度ですが、山道を下るのは大変そうでした。

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【小学校】

156人の生徒が通う小学校を訪問しました。日本と同じ6年制で、各学年に1クラス。授業は7:15〜13:00までの午前中のみで、国の統一テスト前の補習がある際は、灯油が燃料のジェネレーターを使用しながら17:00頃まで授業をするそうです。

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【民家】

訪問した民家にある灯りは、ご主人手作りの小さな灯油ランプ2つのみ。灯油代節約のため夜8時までに夕飯などを済ませ、眠りにつく9時まではランプなしの真っ暗な部屋で、家族でおしゃべりをして過ごしているそうです。電気のない不便な生活ではありますが、家族の心のつながりを深める貴重な時間の過ごし方だと感じました。

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【テックキオスク】

テックキオスクでは、ラストマイル(無電化地域、発展途上国などの貧困地域)へ届けているテクノロジー(ソーラーライト・浄水器・調理用コンロなど)が展示・販売されていました。製品の性能や価格だけではなく、色やデザインも大事なポイントとなっており、黒などシックな色よりも赤やオレンジ・黄色といったカラフルなものが人気だそうです。懐中電灯代わりになる電球など、日本でも災害対策として活用できそうな製品もあり、興味をそそられました。

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ソーラーランタン活用現場の視察を終えて

「日本にいては想像もつかない、無電化地域の課題を知ることができました」(笹元さん)

公共の診療所やクリニックに届けられたソーラーランタンは、「難しい操作がなく、使い勝手もよい」と重宝していただいているのを確認でき、うれしく思いました。

また、無電化の暮らしの中には、まだまだ多くの課題があることもわかりました。たとえば、クリニックには、キレイな水や薬・ワクチンを保管する冷蔵庫もありません。一般家庭で生活インフラが整備されておらず、家族総出で薪拾いや水汲みに多くの時間を費やしています。安全でクリーンな灯りとしてソーラーランタンがあるものの、高価で購入することができないため、健康によくないと知りながらもケロシンランプの使用を続けるという選択をしている家庭もたくさんありました。

インドネシアをはじめ、無電化地域で暮らす人々のもとに1日も早く優しい灯りが届くことを切に願っています。今回の私たちの視察が、別の皆さんの1歩につながるとうれしいです。

「社員の寄付が、人々の生活に役立つ明かりとなっていることを実感しました」(竹内さん)

派遣されたスンバ島は電力の普及率が約40%と言われており、無電化地域の人々のほとんどが農業で生計を立てながら暮らしています。訪問した2つの村では、ほとんどの家庭で電気が使えず、日が落ちてからは灯油ランプの小さな明かりの下で過ごしていました。

今回、初めて無電化地域の村を訪問して、現地の人たちへのソーラーランタンの貢献度の高さを感じました。社員の寄付が、現地で確かに人々の生活に役立つ明かりとなっていることも実感しました。

これからも継続して寄付を続けようと思いますし、多くの社員の方々にこの活動を知っていただけるように行動していけたらと思います。


視察の様子は、ソーラーランタン10万台プロジェクトのFacebookページでもご覧いただけます。

ソーラーランタン10万台プロジェクトのFacebookページ