【Voice】寄贈団体からの便り〜ASACカンボジアに学校を贈る会〜

2014.12.18 Voices

農村地域の人々の識字教育などに取り組むASACカンボジアに学校を贈る会様からレポートが届きました。インフラの整備が遅れがちで、日が沈むと真っ暗になってしまう農村地域では、ソーラーランタンによって、人々の生活が少しずつ変わりつつあるようです。

パナソニックの皆様こんにちは。

ASACカンボジアに学校を贈る会の浦田富貴美です。

皆様から寄贈いただいたソーラーランタンは、カンボジアの農村地域の人々が大切に活用しています。今回は、私たちの事業地の一つ、カンボジア南東部のコンポンチャム州にある無電化地域、バティエイ郡トロップ地区の人々の暮らしと、ソーラーランタン活用の様子をご紹介します。

近年目覚ましい成長を遂げるカンボジア。一方、人口の8割を占める農村地域の生活は貧しく、発展から取り残される人々がいます。彼らを苦しめる原因の一つに、識字率の低さが挙げられます。そこで、私たちは貧しくて学校に通えない子どもたちや、内戦の影響で教育を受けられないまま大人になってしまった人たちに向けて、学校建設や識字教育、図書の配布などのサポートを続けています(詳しくはこちらの記事をご覧下さい:「カンボジア:農村部での識字率アップに貢献」)。ソーラーランタンは、昼間は農作業などで忙しい農村の人々の夜間学習などに役立てられています。

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穏やかな田園風景が広がるコンポンチャム州の農村地域

「文字を覚えたい」という希望をつなぐ明かり

トロップ地区では、ASAC主催で20期目となる識字教室を開催しています。生徒さんは、15歳から45歳までの非識字者の方。11月は、カンボジアではちょうど稲刈りの時期です。昼間の重労働のあとで体は疲れ切っているにもかかわらず、「文字を学びたい」という一心で、生徒さんは休まず通って来ていました。

夕方6時から8時までの2時間、薄暗くなり始めた頃から教室がスタートします。次第に、まわりは闇に包まれ、教室が終わる頃にはあたりは真っ暗闇に。そんな中、煌々と光るソーラーランタンの明かりは、一生懸命に文字を覚えようと学ぶ人たちに降り注ぐ、希望の光のようにも見えました。

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ソーラーランタンの明かりで手元を照らしながら、文字の練習をしています(左) 暗闇の中、ソーラーランタンの明かりのもと行われている識字教室の様子(右)

「仕事に、家事に、勉強に。家族全員でフル活用しています」

トロップ小学校の副校長で、3人の子どもの父親でもあるブン・ソヴァンさんは、一家全員でソーラーランタンを活用しています。

「これまでは夜は真っ暗で何をするにも手探りの状態でした。でも、ソーラーランタンのおかげで、私は帰宅後の時間を利用して学校の教材をしっかり準備できるようになりました。妻は夕食の支度をするのに使っていて、娘や息子は夜に勉強したり、夜間も安心して裏庭のトイレに行けたりするようになったと喜んでいます」

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夜間に勉強する子どもたちの手元を明るく照らしています。

「夜間も営業できるようになり、売上も増えました」

また、自宅で小さな売店を経営するペイン・ソックさんは、貧しい家庭で育ち、小学2年生のときに学校を退学せざるを得ませんでした。「以前は品物の名前を読んだり書いたりすることすらできなかった」というソックさんですが、ASACの識字教室に通い始めたことで少しずつ読み書きができるようになり、今は品物の管理もしっかりできるようになって売上アップにつながっているそうです。

そんな彼女を助けているのが、ソーラーランタンの灯りです。「たくさんのお客さんに利用してもらえるよう、夜も灯りをつけてお店を開いています。お店や家事を終えて夜寝る前、3歳の息子に本を読んであげるときにも使っています」とソックさん。

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自宅前でガソリンや油、砂糖やスナックなどを販売しています。

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昼間は太陽の下で充電し、夜間には寝室に置いて使用しています。

真っ暗な農村地域の闇を照らすソーラーランタン。太陽の力を活用し、手元や足元を明るくできるようになったことで、各家庭の生活のさまざまな場面で役立っています。子どもたちの勉強の手助けになるだけでなく、「もっと学びたい」「生活を良くしたい」と切実に願う大人たちの意欲も後押ししています。また、価格にもよるが、販売されたらぜひ購入したいという声もありました。

これまでチャンスがなかった人も新しいチャレンジに向かうことができる――そんな「希望の光」として、ソーラーランタンはこれからも農村地域の人々の心を照らしていきます。