クリエイティブの力で社会に貢献:Behance Japan Tokyo Community

2015.01.19 Our Partners

世界から募ったデザインシェードの付いたソーラーランタンを世界の無電化地域に届けるCut Out The Darkness。1月末までデザインを募集している当プロジェクトにおいてコラボレートしているBehance Japan Tokyo Community共同代表のテラダヒデジさんに、「クリエイティブと社会貢献」をテーマにお話を聞きました。(対談日:2015年1月14日)

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クリエイターが社会問題にかかわるきっかけに

次田:こんにちは。Cut Out the Darknessを担当しているパナソニックの次田です。昨年開催したCut Out the Darkness第1弾には、全世界から500作品もの応募があり、111作品がソーラーランタンとともに、インドネシアにあるスンバ島の無電化地域に届けられました。現在募集中の第2弾のテーマは、「光の動物園」Behance Japan Tokyo Communityとのコラボレーションにより、素晴らしい作品が続々と集まってきています。

テラダ:ありがとうございます。Behanceは、世界中のクリエイターが作品を公開しているポートフォリオサイトです。数百万以上の投稿があり、クリエイティブな仕事を必要とする世界中の企業にも注目されています。登録しているクリエイターがリアルに集うローカルコミュニティが世界に500以上あり、東京ローカルコミュニティとして立ち上げたのがBehance Japan Tokyo Communityです。

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インドネシアのスンバ島で行われた第1弾の寄贈式の様子。

テラダ:Behance上で参加を呼びかけたところ、「クリエイティブの力が社会に役立つはず」「絶対に応募する」といった力強いメッセージがたくさん届きました。特にヨーロッパ圏、南米や中東地域からの反応が多く、例えば貧困や差別、環境などさまざまな問題を身近に考えていることが関係しているのかもしれません。

次田:社会問題との距離感というのはあるかもしれませんね。無電化地域では明かりがないことによって、出産時の危険や健康への悪影響など、さまざまな問題を抱えています。しかし一見わかりにくい。そこを丁寧に伝えていく必要があると感じています。

テラダ:わかりにくいことや自分とは遠いことを、表現によって身近で伝わりやすいものにしていく。まさにクリエイティブの出番ですね。自分が創るものの意味や存在意義を、世の中をよくすることに見出すクリエイターが増えていますし、それができる力をクリエイターは持っているということを、Cut Out the Darknessへの応募を通じて知ってほしいと思います。

作品を通じて無電化地域の人に思いを馳せる

テラダ:切り絵をデザインするアプリケーションは直感的に操作でき、楽しいですね。一個人も企業の社会貢献活動に気軽に参加できることがCut Out the Darknessの魅力ですよね。

次田:使いやすさには特に力を入れたので、そう言っていただけて嬉しいです。SNSなどの登場で、一方的に情報を発信するだけでなく、参加型のコミュニケーションが求められるようになってきていますし、企業としても、課題意識や課題解決のプロセスを社会にオープンにし、参加していただくことが重要だと考えています。世界中の方々に、楽しみながら参加していただく手段を考える中で、ランタンシェードのデザインというアイディアが生まれたんです。

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テラダ:Behanceを通じて応募するクリエイターは、投稿したデザインを自分のページに「作品」として載せて発信しています。それによって、作品を見た他の人が関心を持ち、今度は自分も応募してみよう、という流れも生まれてきています。

次田:その広がりはまさに目指しているところです。無電化地域に関心がない人にも、「あ、このデザインかわいい」というところを入口に、何だろうとたどっていくと、実はこんな問題があるんだということに気付く......。

テラダ:作品が無電化地域の問題を知るきっかけになるということですね。またそれだけでなく、作品がデザインされたシェードを受け取った現地の方々にとっても、作品に触れることで、新しい世界が広がるきっかけになってくれたらと願っています。

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100作品が照らし出す「光の動物園」

テラダ:寄贈はどのようにして行われるのですか?

次田:投票の多かった上位100作品が、紙にプリントされシェードに加工されます。その後2月末に、NPO法人コペルニクを通じて、インドネシアの無電化地域にソーラーランタンと一緒に贈られます。寄贈式当日は、寄贈先の100家族に集まってもらい、ソーラーランタンをずらっと吊り下げて、一斉に点灯式を行う予定です。

テラダ:おぉ、それは楽しみですね! 暗闇の中、さまざまな動物のデザインがソーラーランタンの明かりによってぱっと浮かび上がり、光の動物園が現れる。村の方たちはどんな反応をするだろう......考えるだけでわくわくします。

次田:100家族分の笑顔を、映像や写真にしっかりとおさめてきます。楽しみにしていてください。

テラダ:100家族もいるので大変ですね(笑)。でもクリエイターにとって、自分の作品を受け取った人の笑顔を見られることは、何よりもうれしいものです。楽しみにしています。

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第2弾で利用するシェードは、広げて作品として壁に貼って鑑賞できるようにもなっています。(写真は第1弾で使用したシェード)

テラダ:よりよい社会のために、クリエイティブの力は必ず役立てることができます。応募を検討中の方は、作品を受け取る現地の方のことを想像しながら、思う存分力を発揮してほしいですね。

次田:応募・投票の〆切は1月末です。引き続き一緒に盛り上げていきましょう!

Cut Out the Darknessへの応募・投票はこちらから>
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Cut Out the Darkness第1弾ムービーレポート

Cut Out the Darkness第1弾に寄せられたデザインが、実際にランタンのシェードとして形になり、スンバ島の無電化地域で暮らす村人たちに届くまでを紹介しています。

Behance Japan Tokyo Communityとは

ニューヨークから始まったBehance.netは、動画や写真、イラストなど世界中のクリエーターが作品を掲載するソーシャルネットワークサービス。「Appreciate」という意思表示のボタンで誰でも作品を評価できるのが特徴。日本では、2011年にBehance Japan Tokyo Communityがローカルコミュニティとして立ち上がり、世界500以上のコミュニティが同時に開催するイベント「ポートフォリオ・レビュー」をはじめ、世界に発信したい日本人や日本で活躍したい外国のクリエイターたちの交流や情報共有の場を提供している。

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昨年11月に開催したBehance Japan Tokyo Community主催のイベント「INPUT for CREATIVES」の様子。